12日に80歳で亡くなった「世界のニナガワ」と呼ばれた演出家、蜷川幸雄さんの通夜が15日、東京都港区の青山葬儀所で始まった。葬儀委員長は上田清司埼玉県知事。蜷川さんと演劇を作り上げた俳優をはじめ、演劇関係者ら多数が弔問し、故人をしのんだ。
「厳しい言葉の根底に愛」 弔問の俳優ら、蜷川さん偲ぶ
祭壇には、長女で写真家の実花さんが撮影した昨年9月の「NINAGAWAマクベス」の舞台稽古中の蜷川さんの遺影が掲げられ、多くの紅白の花で飾られた。午後5時ごろから弔問客が続々と訪れ、俳優の宮沢りえさんや阿部寛さん、歌舞伎俳優の松本幸四郎さんらが姿を見せた。
通夜が始まる前に、実花さんは報道陣を前に「(父は)演劇の場に身を置くことが生きることのほとんどでした。最後の10日間ぐらいは『ありがとう』という言葉しか言わなかった。どこを切り取っても幸せな人生だったと思います」と語った。最後に話したのは「真山は?」という妻で俳優の真山知子さんへの呼びかけの言葉だったという。
病室にはシェークスピアの「尺には尺を」や自身の半生を描いた「蜷の綿」など、今後上演する予定の台本を置いていたという。
「一流のクリエーターと同じ家の中にいたというのは私にとってはプラスで、一番影響を受け、尊敬していたのは父でした」と振り返った。(山根由起子)