シャボン玉と戯れるキャンプ参加者たち=米国ハワイ・オアフ島
東日本大震災で家族を亡くした子どもたち44人がこの春、米国ハワイ州のキャンプに参加した。津波への恐怖から遠ざけてきた海に囲まれ、悲しみと向き合う子どもたち。キャンプに同行し、グリーフ(悲嘆)ケアについて考えてみた。
ハワイ・オアフ島西部。太陽に輝く海で、水着の子どもたちが歓声を上げた。
多くの子どもたちは震災後、海に近づけなかった。不安そうに砂浜で眺めていた岩手県山田町出身の福士結衣さん(19)は、津波で母を亡くしてから海が怖くて洗面器に顔をつけることもできなくなった。それでもほかの参加者4人とカヌーに乗り、数メートルこぎ出すと、笑顔になった。
「すてきな海に一歩だけ近づけて良かった」
キャンプは「震災で大切な人を失った18歳以下」を対象に朝日新聞厚生文化事業団が企画し、定員30人に124人が応募。親を亡くした孤児と遺児を優先して小学生から高校生までの44人を選び、3月下旬に現地3泊の日程で実施した。
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