高速増殖原型炉「もんじゅ」=福井県敦賀市、朝日新聞社ヘリから、上田潤撮影
日本原子力研究開発機構が、運営する高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)のおもな保守点検の業務契約について、いったん競争性のある公募方式に変えた後、再び随意契約に戻したことが、わかった。機構は、企業との連携を強めてトラブルの再発を防ぐためだとしている。
高速増殖原型炉もんじゅ
国家プロジェクトとして高速増殖炉技術の育成を目指すもんじゅは、原子炉、1次、2次冷却系、燃料取り扱い設備という主な機器の製作をメーカー4社が分担。その維持管理も4社が担う部分が多いという。
機構によると、契約は管理会社と結んだ「1次冷却系等設備点検」と、大手電機メーカーとの「2次冷却系等設備点検」の二つ。契約額は1次冷却系は2013年度12億3300万円、14年度21億6500万円。2次冷却系は13年度7億6500万円、14年度7億1400万円。業務量は年度ごとに異なり、14年度はどちらも3年間の契約だった。1次、2次冷却系はもんじゅの保守作業で大きなウエートを占め、契約額も各年度の全契約の上位5位以上になっている。
この2件は元々、随意契約だったが、13年度に確認公募に変更。だが14年度は再び随意契約になった。確認公募は競争性のある方式のひとつとされ、入札希望者をネットなどで公募、応募があれば競争入札する。応募がなければ随意契約する。
機構によると、確認公募への変更は、競争性のある契約への移行を求める国の指導も踏まえたものだった。だが12年秋、もんじゅで約1万件の点検漏れが発覚したことを機に、機構は「もんじゅ改革」に着手。メーカーとの連携を強化する方針を打ち出した。14年春に点検業務の随意契約の対象などを定めた新たな内規を作り、2件が該当すると判断したという。
機構契約調整課は「確認公募でも1社しか応募がなく、他社にはできないという判断もあった」と説明する。同もんじゅ安全・改革室の飯島隆室長は「契約の透明性の確保や行革の流れがあったが、保守管理の不備を受けたもんじゅ改革で、安全安定に維持するにはメーカーとの連携強化が必要と考えた」と話す。