4月に第1回投票が迫るフランス大統領選で、野党共和党のジュペ元首相が地元ボルドーで記者団に対し、「立候補しない。もう遅すぎる」との声明を発表した。共和党の予備選で候補に決まったフィヨン元首相が公金流用疑惑で捜査対象になる見通しになり、ジュペ氏への候補者差し替えが取りざたされていた。
声明で、共和党の現状を「混乱状態だ」と言及。大統領選に勝つには、右派と中道の集結が「絶対条件だ」としたうえで「中道は我々から離れ、我々の支持者の中心は極端になっており、(実現は)ますます難しくなってしまった」と説明した。また、「フランス人は政治の刷新を求めている。私はそれを体現することはできない」とも述べた。
ジュペ氏は昨秋の予備選で、フィヨン氏に敗れた。だが公金流用疑惑で当初大統領の最有力候補とみなされていたフィヨン氏の支持率が急落したのをうけて、党内からはジュペ氏への差し替えに期待が高まっていた。フィヨン氏は撤退を拒否し続けている。今月にはジュペ氏ならトップで決選投票に進めるとの世論調査も出るなど、フィヨン氏への撤退圧力は高まっていたが、ジュペ氏が不出馬を明言したことで、共和党の苦境は続きそうだ。(パリ=高久潤)