ロシアのスポーツ選手による組織的なドーピング問題で、米紙ニューヨーク・タイムズは17日、米司法省が捜査を始めたと報じた。事情を知る関係者2人の話として伝えた。詐欺罪や共謀罪での訴追を視野に、ロシア政府の関係者や選手、コーチのほか、ドーピングによって不正に得をした可能性がある人を対象に調べているという。
米国の刑事捜査では、米国と事件の間に何らかのつながりがあれば、米国外に住む外国籍の人も訴追の対象になる。ニューヨーク・タイムズによると、今回は米国内で開かれた大会で不正があったり、関係者が米国の金融システムを使ったりしているかなどが焦点になるという。
一方、米CBSテレビとニューヨーク・タイムズがソチ五輪金メダリストのロシア人選手にドーピングの疑いがあると報じた問題について、世界反ドーピング機関(WADA)は17日、この事案の調査を始めると発表した。国際刑事警察機構(インターポール)で働いた経験を持つWADAの調査担当マチュー・オルツ氏がリーダーとなり、報告書をまとめる。オルツ氏は、証言したロシアの検査機関「モスクワ反ドーピングセンター」のグリゴリー・ロドチェンコフ元所長や元ロシア反ドーピング機関職員のビタリー・ステパノフ氏に連絡を取っているという。(ニューヨーク=中井大助、ロンドン=河野正樹)