りそな銀行豊洲支店では、印鑑の代わりに静脈を利用して本人確認する=りそなホールディングス提供
りそなホールディングスは3年後をめどに、住宅ローンや口座開設などの手続きで印鑑を押すことを原則として取りやめる。大手行では初の試み。利用者の手間を減らせるうえ、銀行側も、事務を減らして行員を営業の強化に回せる。印鑑の使用を取りやめる動きは他行にもあり、銀行手続きから印鑑が消える日も遠くなさそうだ。
東和浩社長が19日、朝日新聞の取材に明らかにした。東社長は「(印鑑をなくせば)業務は百八十度変わり、極力効率化できる」などと語った。
現在、りそなでは口座の開設や預金者の住所変更、住宅ローン契約を結んだときなどに、印鑑を押してもらっている。多い場合には一つの手続きで10カ所以上に押すこともあるという。
今後は、担保の設定など、行政への手続上不可欠な場合を除いて印鑑を原則不要にする。ICチップ付きのキャッシュカードや指の静脈を利用した生体認証で本人確認する。
りそなは昨秋以降、東京・豊洲など一部の支店で、試験的に印鑑なしで口座を開けるようにしてきた。安全面に特段の問題がないと確認できたことから、2019年3月までに傘下のりそな銀行、埼玉りそな銀行の全400支店に取り組みを広げる。近畿大阪銀行はシステムの準備が整い次第対象とする。すでに口座を持つ預金者も希望すれば印鑑なしに切り替えられるという。
印鑑使用の原則廃止も含めて業務全般を見直すことで、今後4年間に事務作業を2割ほど減らせると見込む。その分、傘下の銀行の営業部門に計1千人を振り向ける方針だ。
インターネット銀行では、基本的に手続きに印鑑を求めていないほか、大手行でも三井住友銀行が17年2月から、一部店舗で口座開設や住所変更などで印鑑を使わない取り組みを始めるなど、印鑑なしで済ます動きが広がり始めている。