2027年に東京―名古屋間で開業予定のリニア中央新幹線について、反対する沿線7都県の住民ら738人が20日、JR東海の計画を認可した国を相手取り、処分の取り消しを求める訴訟を東京地裁に起こした。「乗客の安全や環境への影響に重大な問題があるのに、計画を認可したのは違法だ」と訴えている。
訴状で住民らは、JR東海による工事の環境影響評価が不十分だと指摘。水源への影響や、トンネル掘削で出る大量の土の処理、工事車両による騒音・振動などについて、十分な検討がされていないと訴えた。地震や火災の際の安全性も確保されていないと主張している。
提訴について、国土交通省は「訴状を受け取っていないためコメントは差し控える」、JR東海は「特に申し上げることはないが、当社は国交相から工事実施計画の認可を受けており、中央新幹線の建設を着実に進めていく」としている。
■「疑問に答えぬJR東海、法廷に出て」
「JR東海は住民説明会で疑問に全く答えず、情報も出さない。法廷で出してもらうしかない」。原告らは提訴後に東京都内で会見。原告団長で慶応大名誉教授の川村晃生(てるお)さん(69)は提訴の狙いを話した。