東日本大震災の津波で犠牲になった常磐(じょうばん)山元自動車学校(宮城県山元町)の教習生と従業員の遺族が、学校側に損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、教習生側と学校側の和解が成立する見通しとなった。23日、教習生側の代理人弁護士が明らかにした。仙台高裁で25日に開かれる弁論で成立する。
和解内容は不明だが、学校側が教習生の遺族に謝罪し、金銭を支払う見込み。一審・仙台地裁判決が学校に命じた総額約19億円の賠償額からは大幅に減額されるとみられる。高裁が今年2月に和解を勧告していた。従業員の遺族と学校側の和解協議も続いている。
昨年1月の一審判決によると、5年前の大地震発生の約1時間後、学校側は18~19歳だった教習生を送迎車で帰宅させたが、23人が津波に巻き込まれて死亡。教官の判断で路上教習から学校に戻り、徒歩で帰宅した2人も亡くなった。
一審判決は「津波を予測できたのに避難させなかった」として、学校に計約19億1千万円の支払いを命じたが、学校の役員ら個人の責任は認めなかった。教習生25人のうち19人と校内で亡くなった従業員1人の遺族は、役員らにも責任があるとして控訴。学校側も控訴していた。(船崎桜)