台湾の行政院(内閣)は23日、日本と海洋協力対話を立ち上げると発表した。馬英九(マーインチウ)・前総統は任期切れ間際に沖ノ鳥島を「岩」と断定したが、20日発足の新政権は「法律上の特定の立場を取らない」と修正した。蔡英文(ツァイインウェン)総統は日本重視の立場を示すと同時に、政権交代後さっそく外交面で成果を上げたことになる。
沖ノ鳥島をめぐっては、4月末に同島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)で操業していた台湾漁船の船長が海上保安庁に逮捕されたことを機に、馬氏が「EEZを設定できない岩だ」との主張を始めた。馬氏は同島周辺に海岸巡防署(海上保安庁に相当)の巡視船を派遣したほか、公文書で「沖ノ鳥礁」と書くよう指示を出していた。
これに対し、新政権報道官は「台日関係は台湾の対外関係の中で非常に重要」と位置づけ、「緊張を高めるいかなる行動も取るべきではない」とした。沖ノ鳥島周辺の巡視船は引き揚げる意向だ。
海洋協力対話は日本の窓口機関、交流協会と台湾側の亜東関係協会の枠組みで設けられ、7月末までに第1回対話の開催を目指している。漁業協力や問題発生時の対処、環境保護などを取り上げるという。馬氏も総統在任中に対話を求めていたが、日本は応じておらず、台湾の外交部(外務省)幹部は「新政権のもとで日台関係を強化したいという双方の思いの表れ」と歓迎した。(台北=鵜飼啓)