資産を運用して年金として将来受け取る「個人型確定拠出年金」(個人型DC)の対象を広げる改正法案が24日の衆院本会議で自民、公明、民進党などの賛成多数で可決、成立した。公的年金の支給額が目減りしていくため、自助努力で老後の生活資金を用意する選択肢を増やす狙い。2017年から原則、誰でも加入できるようになった。
今回の法改正は、民間が運営する私的年金のうち、運用によって将来受け取る年金額が変わる個人型DCが中心。これまでは自営業者や企業独自の年金がない会社員ら約4千万人に限られていたが、主婦や公務員らにも広げ約6700万人が対象となった。低所得で国民年金保険料が免除されている人は加入できない。
別の私的年金で、従業員のために原則として企業が運用資金を出す「企業型DC」も拡大。従業員100人以下の中小企業を対象に、DCの導入に必要な書類の多くを省略して事務負担を減らす簡易型DCの創設を認め、導入を促す。
国民年金と厚生年金は、少子高齢化に応じて年金額の伸びを自動調整するため目減りしていく。厚生労働省の2014年の試算では、夫婦2人のモデル世帯が受け取れる厚生年金の水準は経済が高成長するケースでも30年後に現在より2割下がる見通し。私的年金の拡充は、公的年金だけでは将来の生活を保障しきれないという背景がある。(久永隆一)