日本年金機構がサイバー攻撃を受けて101万人分の個人情報が流出した問題で、対処のために計約11億8千万円の費用がかかっていたことが会計検査院の調べでわかった。また機構は対処で通常業務が停滞し、保険料未納者への強制徴収手続きなどが中断。この影響で失われた保険料は少なくとも1億2千万円相当だったことが明らかになった。
昨年5月、インターネットを通じて基礎年金番号や氏名などが外部に流出した。機構は、該当者へおわび文書を送付するとともに、年金番号を変更。問い合わせのための専用電話を設置したり、検証委員会を設けたりした。これらの費用は機構や厚生労働省が負担した。
検査院は、流出後の機構の対応も検証した。機構は情報流出者の対応に集中して取り組むことになり、昨年6月から約5カ月間、強制徴収手続きを中断。検査院の試算によると、その影響で、10都府県で4372人の計8159カ月分に当たる年金保険料を徴収する権利が時効で失われた。この保険料が計約1億2千万円に相当するという。
また、強制徴収手続きに入る前…