車載型の「不正薬物・爆発物探知装置」=愛知県常滑市の中部空港
開幕目前の主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)へ向けた厳戒警備が敷かれる中、各国首脳の玄関口となる中部空港(愛知県常滑市)では水際警戒を強化している。海外からの貨物に隠された爆発物などを検知する特殊機器を駆使し、テロの未然防止にあたる。
フォトギャラ「伊勢志摩、世界が注目」
サミット直前の空港貨物地区。貨物機の駐機場に隣接する国際宅配便大手の保管倉庫には、降ろされたばかりの段ボール箱が並んでいた。米国、中国、韓国、シンガポール、エストニア、ドイツなど世界各国から届いた。
その一つの箱の外側を、税関の検査官らが白い布のようなもので拭き取った。中にあるかもしれない爆発物の微粒子を付着させるためだ。それを「不正薬物・爆発物探知装置」に入れると、10~20秒で結果が出る。広い空港で機動的に使える車載型の機器で、荷物が未開封のまま確認ができ、検査官の安全も確保できる。
「ほんの少しの微粒子でも探知できる」と中部空港税関支署検査部門の安藤哲・統括監視官。さらにエックス線でも中身を調べてダブルチェックした後、開封して不審物がないかを直接見て確認する。
専門機器は他にもある。酒類や化粧品などの瓶に外からレーザーを当てると、液中に爆発物などが溶け込んでいないかが分かる「ラマン分光計」だ。10~20秒で結果が分かる。長さ約30センチと小型なので持ち運びも容易にできる。