今春、広島で証言活動をするため富山県から帰郷した飯田国彦さん=広島市中区、青山芳久撮影
オバマ米大統領の広島訪問にあたり、朝日新聞は全国各地に住む広島、長崎の被爆者にメールでアンケートをした。訪問を評価する人は9割、原爆投下について謝罪を求めないという人が6割を超えた。葛藤を抱えながら「核なき世界」の実現を願う姿が浮かぶ。
特集:オバマ米大統領、広島へ
朝日新聞は昨年春、被爆70年に合わせて被爆者約2万2千人にアンケートを送り、5762人が回答。オバマ氏の広島訪問が発表された翌日の今月11日、回答者の中でメールの宛先がわかる164人に思いを尋ね、81人から回答を得た。
「オバマ大統領の広島訪問を評価するか」という問いには、9割にあたる74人が「評価する」と答えた。広島で被爆した東京都の女性(75)は「まずは来て、現実を見ることが必要」、長崎で被爆した東京の男性(79)は「遅きに失したとはいえ、英断をたたえる」と理由を書いた。
「どちらでもない」は5人。別の東京の男性(80)は「日米両政権が同盟強化の証しとすることに違和感を持つ」と指摘した。「評価しない」という人はおらず、2人が無回答だった。
「原爆投下について、オバマ大統領に謝罪を求めるか」を問うと、6割の52人が「求めない」と回答。埼玉県の男性(72)は「謝罪は被爆者に感情的な満足を与えるかもしれないが、米国民の感情を逆なでし、新たな摩擦を引き起こす」、神奈川県の男性(73)は「米国に謝罪を求めるなら日本も真珠湾攻撃を謝罪するべき」と説明した。
一方、謝罪を「求める」のは12人。広島被爆の男性(84)は「明白な国際法違反の非人道兵器を使用した国の大統領として当然」とした。「どちらでもない」は11人で、東京の男性(85)は「謝罪を求めたいが、現職大統領に求めても無理」と複雑な思いを明かした。無回答・その他は6人だった。(岡本玄、大隈崇)