ホシムシ類のペラゴスフェラ幼生。普段は見向きもされない生き物ですら、幼生の姿には誰もが魅了される美しさが満たされている。その宝石箱の中には何が詰まっているのか? 答えは胃や腸や肛門(こうもん)といった臓器。その現実的なギャップがまた面白い=大島・秋の浜、峯水亮さん撮影
3年前の土石流災害を機に離れてしまったダイバーたちに帰ってきてほしい。そんな思いで伊豆大島(東京都)の有志が仕掛ける「海底熟成焼酎」や「プロ水中カメラマン誘致」など、様々な企画が人気を集めている。
大島は2013年10月に土石流災害に見舞われ、36人が亡くなり3人が行方不明となった。古山(ふるやま)徹さん(42)が経営するダイビング店には、「被災者を前に楽しむのは気が引ける」と予約をキャンセルする電話が一斉に入った。
すっかり消えたダイビング客に戻ってほしい。古山さんが会長を務め、島内28のダイビング店でつくる大島ダイビング連絡協議会が仕掛けたのは、焼酎海底熟成プロジェクトだ。
島唯一の酒蔵「谷口酒造」で被災を免れた秘蔵の麦焼酎を300本分購入し、秋の浜の海底に沈めた。水深は20メートル。安定した水温や日光の遮断、適度な揺れでまろやかに熟成すると言われる。14年4月に沈めて11月に引き揚げ、「ゆらぎ」と名付けて販売。収益で秋の浜に温水シャワーとジェットバスを新設できた。
現在は「海底熟成サービス」を実施している。ワインや日本酒など好きな酒のボトルを預けてもらい、1本2千円で、半年間の海底熟成を請け負っている。