OPEC総会前に記者団の取材に応じる、サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相=ウィーン
中東の産油国などでつくる石油輸出国機構(OPEC)は2日、ウィーンの本部で総会を開いた。原油価格が上がっているとして、増産凍結や生産目標の設定は見送った。原油安で苦しむ一部の加盟国からは生産調整を求める声が出たが、足並みの乱れから合意できず、OPECの調整機能の低下を印象づけた。
今回の総会では加盟国が協調して生産調整できるかが焦点だった。OPECは昨年12月の総会で意見が分かれ、それまで合意していた日量3千万バレルの生産目標(再加盟のインドネシアを除く)を決められなかった。原油安を受け各国が収入を確保するために増産し、OPEC全体の生産量は同3200万バレルを超え、意味をなさなくなっていた。しかし生産目標を定めなかったことで、さらに生産が増えて価格が下落する悪循環に陥った。
「必要なら我々は(生産目標設定を)する」。OPEC最大の産油国サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は総会前、記者団にそう語り、議論に応じる考えを示していた。総会では、原油安で財政破綻(はたん)の危機にあるベネズエラなどが生産目標の設定を提案したとみられる。
しかし、1月の経済制裁解除で増産を急ぐイランのザンガネ石油相は「生産目標を(全体ではなく)各国に割り当てなければ、OPECは何もコントロールすることはできない。無意味だ」と否定的な姿勢をみせるなど、総会前から足並みの乱れが目立っていた。