トルコに潜伏する過激派組織「イスラム国」(IS)の戦闘員リーダーとみられる人物の隠れ家から、「会計帳簿」が見つかり、部下の戦闘員ら23人に毎月120ドル(約1万3千円)から690ドル(約7万7千円)の「給与」支払いが記録されていることが分かった。この支払いなどにかかる毎月の経費は約2万5千ドル(約280万円)だった。
トルコ紙ソズジュなどが報じた。同紙などによると、リーダーとされるのはユヌス・ドゥルマズ戦闘員。昨年10月にアンカラ駅前で少なくとも102人が死亡した連続爆破事件など、ISがトルコ国内で実行したとみられる自爆攻撃をすべて計画した人物とされる。
治安当局は5月19日夜、トルコ南部ガジアンテップの隠れ家を強制捜査。ドゥルマズ戦闘員はその場で爆弾チョッキを爆発させて死亡した。建物内からは会計帳簿が押収された。
帳簿によると、戦闘員1人につき月120ドルを「基本給」として支払い、既婚者には妻に月120ドル、子ども1人につき月50ドル(約5500円)を加算。賃料や水道代、電気代も負担していた。また、爆弾を製造するのに必要な硝酸アンモニウムを大量に購入した記録もあったという。
トルコ政府は今年1月、最低賃金を月額1300トルコリラ(約4万9千円)に引き上げた。帳簿に記された基本給は、最低賃金の約4分の1。戦闘員の一部は隠れ家で共同生活をしていたとみられる。(イスタンブール=春日芳晃)