カーター米国防長官は2日、訪問先のシンガポールに向かう専用機中で同行記者団と会見し、沖縄での元米兵による死体遺棄容疑事件を「卑劣で遺憾だ」と批判し、日米地位協定の運用改善を検討する考えを示した。また、北朝鮮が日本をミサイル攻撃した場合は、米国が集団的自衛権を行使する考えを強調した。
カーター氏は事件直後に中谷元防衛相と電話会談した際、「謝罪と深い遺憾の意」を伝えたとし、再発防止に最善を尽くす考えを強調。「日米地位協定の運用改善を検討していく」と述べ、沖縄県が求める協定の改定ではなく協定の運用改善を検討する考えを示した。4日にシンガポールである日米防衛相会談でも議論するという。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の辺野古地区への移設計画については「日米両政府とも軍事的な同盟強化に重要な移設を前進させようとしている」とし、改めて計画変更の考えはないとの認識を示した。
一方、北朝鮮による「ムスダン」とみられる中距離弾道ミサイルの発射試験失敗については、「国連安保理決議違反だ」と非難。「米国は集団的自衛措置として、韓国や日本の防衛のため、同盟国と強力に立ち向かい続ける」と述べ、日韓が攻撃を受けた場合の集団的自衛権の行使に言及した。(シンガポール=佐藤武嗣)