国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は3日、スイス・ローザンヌでの記者会見で、8月のリオデジャネイロ五輪で初めて結成する難民五輪選手団の概要を発表した。選手団は、シリアなどから難民となって母国から五輪に出場できない10選手とコーチを含む役員12人の計22人で構成。開会式では五輪旗の下で入場する。
10人の選手はシリアのほか、南スーダン、コンゴ民主共和国(旧ザイール)、エチオピアの4カ国出身。種目は陸上、水泳、柔道で、現在はケニアの難民キャンプやブラジル、ドイツなど5カ国で活動を続けている。選手団長は、五輪3大会に出場した元女子マラソン世界記録保持者のテグラ・ロルーペさん(ケニア)が務める。10選手のうち5選手がロルーペさんが支援する選手だという。
IOCは昨年、難民支援に200万米ドル(約2億2千万円)を拠出することを決め、43人の難民選手が支援を受けて五輪を目指していた。難民選手団には入らなかったが、受け入れ先の国の代表選手になった選手もいる。バッハ会長は「初めて難民選手団を結成する歴史的なできごと。難民の選手を通じて、世界に難民の困難な問題を伝えることができる」と話した。
2020年東京五輪の5競技追加を一括でIOC総会に提案することについて、バッハ会長は「東京の提案はすばらしいもので、5競技は相互補完的で、個別ではなく、全体として考えるべきだ」と話した。(ローザンヌ=河野正樹)