4月から豊田市の稲武支所で働いている伊藤友治さん(左)と内川美奈さん。地元の郷土研究グループにも加わった内川さんは「毎日が楽しい」=愛知県豊田市稲武町
中心部から遠く離れた中山間地で暮らしながら正規の市職員としてその支所で働く。こんな雇用制度を愛知県豊田市が導入した。「居住地限定職員」として採用された6人は、この春から希望通り、「田舎暮らし」を楽しみながら、過疎地の振興などの業務に当たっている。
長野、岐阜両県と接する旧稲武(いなぶ)町。そこにある市稲武支所に同制度で採用された伊藤友治さん(32)と内川美奈さん(34)がいる。
伊藤さんは愛知県岩倉市出身。高校卒業後、アイシン精機半田工場で勤務。20歳で旧稲武町出身の妻(34)と結婚し、2男2女を授かった。「自然の中で子育てをしたいと考えた」と言う伊藤さん。一昨年3月、妻と4人の子どもを妻の実家へ転居させ、自らは半田市で単身生活を送っていた。
昨年、新聞で豊田市の同制度による職員募集を知り、「まさに天恵」とすぐに申し込んだ。採用試験の面接でも稲武での勤務を希望した。
今、暮らしている妻の実家がある同市富永町は8世帯しかない「限界集落」。伊藤さんは「獣害に悩まされているので、住民の人たちと一緒に農作物を上手に守る方法を考えたい」と話している。