熊本市動物愛護センターで飼い主を待つ雑種犬のスフレ=熊本市東区小山2丁目
熊本県を中心とした一連の地震による混乱で、多くの飼い主とペットの犬や猫が離ればなれになった。被災地の保健所は、保護したペットが慣れない環境でストレスを感じていることを心配。一方の飼い主たちは、ネットや手製のポスターなどで懸命に「家族」を捜している。
熊本市動物愛護センターでは前震翌日の4月15日から5月25日までに計84匹の犬を保護し、57匹は飼い主に返還できた。普段の犬の保護は月30匹程度。人慣れしている犬が多く、多くが震災による「迷い犬」とみられるという。被害がひどかった同県益城町を管轄する県御船保健所は同期間中に15匹を保護。地震前の月平均(7匹ほど)の約2倍で、このうち9匹を飼い主に渡した。
熊本市のセンターに保護された3~5歳とみられるオスの雑種犬は、4月15日に同市西区田崎本町で発見された。革製の赤い首輪がついていた。名前が分からなかったため、職員らが「スフレ」と名付けた。
1匹ごとに区分けされた個室(幅約90センチ、奥行き約195センチ)にいて、世話をする女性職員を見ると、しっぽを振って近寄る。だが保護された直後は他の犬の鳴き声などにおびえ、個室の隅で動かなくなったり、遠ぼえしたりすることもあった。4月末から腹水がたまる症状が出て、検査や投薬をしている。
村上睦子所長(56)は「慣れない環境は犬にとって大きなストレス。元の家や飼い主の所へ一刻も早く戻るのがいい」と話す。