アウンサンスーチー氏と40年の親交がある大津典子さん(右)と夫の定美さん=大津市の自宅、武田肇撮影
四半世紀にわたってミャンマーの民主化運動を率い、今春、政権の座に就いたアウンサンスーチー国家顧問兼外相(71)が11月1日、来日し、5日までに東京や京都を訪れる。京都大への留学経験など、スーチー氏と日本の縁は深い。「ミャンマー首脳」としての初来日を、ゆかりの人たちは心待ちにしている。
■留学時代から交流40年
「国を背負って訪日する彼女を温かくもてなしたい」。元同志社大非常勤講師の大津典子さん(77)=大津市=は2日、東京・元赤坂の迎賓館で開かれる首相主催の晩餐(ばんさん)会に招かれ、スーチー氏と再会する。
「スー」「ノリコ」と呼び合う仲のスーチー氏との出会いは1975年、夫の定美(さだよし)さん(78)とともに研究留学していた英国・オックスフォードでだった。当時30歳のスーチー氏は英国人の夫や子どもと平凡に暮らす主婦。「豊かな黒髪をポニーテールに結い、10代の少女のように見えた」
昨年11月、スーチー氏が党首の国民民主連盟(NLD)が総選挙で大勝し、スーチー氏は国を率いる立場に。「『気の強い妹』であることは変わりがないけれど、心配の種が増えた」。今年9月、外交日程がきつく体調を崩したと報じられたときは「大好きなウナギのかば焼きを持って駆けつけたい」と思ったという。
長年、英国で暮らす息子との連絡役を務め、「母親としての思い」を打ち明けられる関係が続いてきた。今年5月にも多忙なスーチー氏に代わって英国で息子と会い、近況を伝えた。「これからも、母としての思いは封印せざるを得ない。とにかく心配しないでと伝えたい」