GDPの実質成長率の推移
内閣府が8日発表した2016年1~3月期の国内総生産(GDP)の2次速報は、物価変動の影響をのぞいた実質成長率が前期(15年10~12月期)比で0・5%増だった。この状況が1年続いた場合の年率換算で1・9%増。5月に発表した1次速報(年率1・7%増)からわずかに上方修正された。プラス成長は2四半期ぶり。
ただ、2月が1日多いことが成長率を押し上げる「うるう年効果」を除けば、実質成長率は0・3ポイント前後(年率で1ポイント程度)低くなるとの見方も出ている。
1次速報後に発表された法人企業統計で、企業による国内の設備投資額が増えたことが上方修正の主因。最新の統計を反映して計算し直した結果、設備投資は前期比0・7%減と、1次速報の同1・4%減からマイナス幅が縮まった。
ただ、自動車関連などの投資は伸びたものの、不動産や保険業では振るわず、設備投資は3四半期ぶりのマイナスとなった。
GDPの6割を占める個人消費は、0・5%増から0・6%増に上方修正されたが、小幅な修正にとどまった。家計の消費意欲は低迷したままだ。
公共投資は0・3%増から0・7%減に下方修正され、3四半期連続のマイナスになった。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎氏は「上方修正された設備投資もマイナスにとどまり、景気は伸び悩みが続いている」と話す。
物価の動きを反映した名目GDPは前期比0・6%増(年率換算は2・4%増)で、1次速報の0・5%増(同2・0%増)から上方修正された。
15年度の成長率は実質で前年度比0・8%増、名目は同2・2%増。実質、名目ともに1次速報と変わらず、いずれも政府経済見通し(実質1・2%増、名目2・7%増)を下回った。(中村靖三郎)