米銃乱射事件で13日、米大統領選の共和党候補となるトランプ氏(69)がニューハンプシャー州で演説し、米国などに対してテロを実施した地域からの移民受け入れを一時的に停止する方針を打ち出した。一方、民主党のクリントン前国務長官(68)は、銃規制の強化を改めて訴えた。
米大統領選2016
トランプ氏は、容疑者の父親がアフガニスタンからの移民だったとして「米国の移民制度は機能不全で、相手がだれであるか分からず米国への入国を許している」と強調。「私が大統領になれば、米国や欧州、同盟国に対してテロを行った地域からは、脅威が完全になくなったと判断するまで、移民の入国を停止する」と述べ、これまでのイスラム教徒入国禁止の主張から踏み込んだ。
乱射事件と銃規制については「クリントン氏は銃規制が解決策だと言っているが、世界的に最も規制の厳しいフランスでもイスラム過激派によって130人が殺害された」と、銃規制では事件を防げないと述べた。
これに対し、クリントン氏はオハイオ州で演説し、「戦争用の武器が街中にあるべきではない。規制の抜け道を利用させず、身元調査を受けなければ銃を購入できないようにすべきだ」と銃規制強化を主張。また、「過激な思想に染まるのを防ぐために、イスラム教徒を孤立させるのではなく、関係を強化すべきだ」と訴えた。
クリントン氏は、テロ組織から直接指示を受けず、その主張を支持・信奉する「一匹おおかみ」型テロが多発していることから、「『一匹おおかみ』の特定と阻止が大統領としての最優先課題だ」とし、情報機関など政府と民間のチームを作り、事件防止策を練る考えも示した。(ワシントン=佐藤武嗣)