土砂崩れによって倒壊した住宅=21日午前8時ごろ、熊本県上天草市大矢野町、大矢雅弘撮影
記録的な豪雨による土砂崩れの現場では、21日朝も消防隊員らによる懸命な捜索が続いた。熊本地震で大きな被害を受けた地域でも住民が孤立するなど影響が出ている。
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九州豪雨、熊本で4人死亡1人心肺停止 不明1人を捜索
バキバキ――。男女2人が土砂に埋まり、女性が死亡、男性が心肺停止で発見された熊本市北区の現場。近くの家にいた男性(22)は21日未明、こんな音を聞いたという。男性の母親(53)は「流れてきた土砂と竹を見て、生きた心地がしなかった」と話した。現場では、スコップを持った泥まみれの消防隊員や警察官が慌ただしく動いていた。
熊本県宇土市住吉町の民家では、土砂が屋内に入り込み、50代の女性の捜索が続く。山の斜面はえぐれ、山肌が露出。消防隊員ら約20人が捜索にあたった。近くに住む園田新一さん(72)は20日午後11時ごろ、避難のために車を走らせようとしたところ、女性の家を襲った土砂が目の前まで押し寄せてきた。「あと2、3秒、車を発進するのが早かったら、土砂をかぶっていたかもしれない」と語った。
土砂崩れで民家にいた男性が亡くなった上天草市大矢野町の現場では、隣接する岩谷敏文さん(50)方にも土砂が流れ込んだ。一家5人で屋外に逃げたという岩谷さんは「雨と雷の音がものすごく、土砂崩れの音は聞こえなかった」と話した。(板倉大地、澤田紫門、大矢雅弘)
■地震の被災地、孤立状態に