南米コロンビアの政府と左翼ゲリラ「コロンビア革命軍」(FARC)は22日、和平実現のための停戦合意に達し、キューバの首都ハバナで共同声明を発表した。半世紀にわたる内戦状態の終結につながる歴史的な合意で、23日にコロンビアのサントス大統領とFARCのロドリゴ・ロンドニョ最高司令官が正式に署名を交わす見通し。
共同声明には、停戦合意のほか、武器の放棄などの内容も盛り込まれた。FARC側は昨年から政府に停戦を宣言してきたが、一連の交渉で双方の停戦が実現するのは初めて。ただ、合意内容を国民が承認する仕組みや和平プロセスの検証方法などを巡る交渉がまだ残っており、最終合意にはさらに時間がかかると見られている。
23日の署名式には、潘基文(パンギムン)・国連事務総長や仲介したキューバのラウル・カストロ国家評議会議長のほか、ベネズエラのマドゥロ大統領、チリのバチェレ大統領らが出席する。
1960年代半ばに結成されたFARCは中南米最大の反政府ゲリラとされ、一時は国土のほぼ3分の1を支配した。テロや誘拐を繰り返し、内戦による死者は22万人に上るとされる。コロンビア政府は掃討作戦を繰り返したが制圧できず、和平への動きもこれまで何度も頓挫してきた。
サントス氏は2012年から和平交渉を開始。双方の代表がハバナで会談を続け、FARC構成員の政治参加などを巡って少しずつ前進を重ねてきた。昨年9月には、最大の難問とされてきた内戦中の犯罪行為を巡る処罰の方法で一致し、最終合意の可能性が高まっていた。
FARCはコカインの生産・密売や要人誘拐の身代金を主な資金源とし、最盛期は約2万人を擁した。だが2000年代以降は政府による掃討で弱体化し、現在の勢力は7千人弱とされる。(サンパウロ=田村剛)