参院選挙区 主な対決構図
22日に公示された参院選で、社民党、生活の党と山本太郎となかまたち、日本のこころを大切にする党、新党改革の小所帯4党も走り出した。政党要件が危ぶまれる党、知名度浸透が急務な党、抱える事情は違うが、それぞれユニークな政策や著名人の擁立で得票の上積みを狙っている。
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朝日・東大谷口研究室共同調査
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「社民党が小さくなって日本の政治が悪くなったと言われる。我々に力を与えてください」
社民の吉田忠智党首は22日、東京都内での第一声で声を張り上げた。今回、比例区の吉田氏自身と福島瑞穂副党首が改選。3年前に獲得できたのは1議席だけに危機感は強い。1人区では野党候補の一本化に協力。比例区でも民進党や生活との「統一名簿」作成を模索したが実現しなかった。
党勢回復のため、今回は若者に注目した政策を打ち出した。若者の居場所をつくるために、心の悩みや就労問題、多重債務者を支援するワンストップの窓口の設置を公約。省庁横断で政策を進めるため、「若者庁」の設置も打ち出した。東京選挙区では、39歳の女性映画監督を擁立するなど選挙区で4人、比例区で7人を擁立した。
生活の小沢一郎代表は地元・岩手県で第一声。二戸市で「都市と農村の格差は広がる一方だ。安倍さんのやりたい放題では命と暮らしも危ういものになる」と訴えた。今回改選を迎えた現職2人が立候補せず、政党要件をクリアするには新たに2人の当選が必要となる。岩手と新潟で党籍がある候補を野党統一候補として擁立。比例区にも5人を立てた。民進などとの統一名簿は実現しなかったが、小沢氏はこの日の演説でも「次の総選挙まで政権はかわらないが、野党4党手を携えて自公と対決する」と語り、三たびの政権交代に執念を燃やした。
こころは、前身の次世代の党が14年衆院選比例区で2%の得票率を得たため、政党要件を失うことはないが、自民党との違いを出せるかが課題。「日本人の手による自主憲法の制定」や、中山恭子代表が担当相も務めた拉致問題の早期解決などを前面に掲げ、保守層への浸透をめざす。比例区5人、選挙区に10人を立て、党勢拡大を狙う。
改革は、唯一の国会議員の荒井広幸代表自らが改選。安倍晋三首相に近く、アベノミクスを評価する立場だが、福島県出身でもある荒井氏は「脱原発するただひとつの保守政党」を掲げ、現政権との違いを出す。この日、都内の第一声では家庭に水素燃料電池を普及させて、原発ゼロを実現させると訴えた。東京選挙区には女優でナチュラリスト高樹沙耶氏を擁立。二枚看板で医療大麻の研究推進も訴え、6年前に続く議席獲得をめざす。
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〈政党要件〉 公職選挙法が規定する、政治団体が政党として認められる要件。所属国会議員が5人以上または直近の衆院選、参院選の選挙区か比例区のいずれかで全国を通じた得票率が2%以上。