28日の東京金融市場は、英国の欧州連合(EU)からの離脱による動揺が続いている。日経平均株価は2営業日ぶりに一時、1万5000円を下回った後、値上がりに転じるなど荒い動きとなっている。安全資産とされる日本国債が買われ、長期金利の指標となる満期10年の新発国債の流通利回りは一時、マイナス0・225%まで下がり、過去最低を更新した。
特集:イギリス、EU離脱へ
午後1時時点の日経平均は、前日終値より32円41銭高い1万5341円62銭。東京証券取引所第1部全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)は、同0・58ポイント低い1225・18。日経平均の午前の終値は、前日終値より50円19銭(0・33%)安い1万5259円02銭。TOPIXは、同6・85ポイント(0・56%)低い1218・91。出来高は13億8千万株。
前日の欧米株が大幅安になった流れを引き継いで、朝方から金融関連銘柄などに売り注文が先行した。ただ、その後は急速に下げ幅を縮めて一時、値上がりに転じるなど不安定な取引となっている。「英国のEU離脱の影響がどこまで広がるかが読めず、投資家の不安心理が強まっている」(ニッセイ基礎研究所の井出真吾氏)という。
東京債券市場では国債に投資マネーが流れる動きが強まり、満期10年の新発国債の流通利回りは前日終値より0・030%幅下がった(価格は上昇)。円相場は比較的落ち着いているものの円高傾向のまま。午後1時時点の対ドルが前日午後5時より03銭円安ドル高の1ドル=102円04~06銭。対ユーロは同04銭円高ユーロ安の1ユーロ=112円84~88銭。
一方、日本銀行が28日実施した金融市場へのドル資金供給には金融機関から14億7500万ドル(約1500億円)の応札があった。応札額は前回21日の約740倍で、2014年12月以来の規模。英国のEU離脱で基軸通貨ドルの需要が世界的に高まり、金融機関がいつもより多いドル資金の確保に動いている。
日銀は週1回ペースでドル資金の供給を実施しており、英国のEU離脱決定後は初めて。28日のドル資金供給は、金利が年0・870%で期間は30日から8日間。ここ数カ月は200万ドル程度までの応札にとどまっていた。(神山純一、久保智)