東芝のパソコン事業の取引の流れ
東芝の不正会計問題で、歴代3社長の刑事告発を視野に調査していた証券取引等監視委員会に対し、東京地検が8日までに「立件は困難」との見方を伝えたことが関係者への取材でわかった。パソコン事業での利益計上について、違法とは断定できないとみている模様だ。監視委と地検が協議し、最終判断するとみられる。
東芝はパソコンの組み立てを委託した業者に対し、自社で調達した部品をいったん販売し、完成品を買い戻す「バイセル取引」という手法をとっていた。2008年以降、決算期末に多くの部品を委託先に販売。翌期に買い戻すまでの間、一時的に利益が計上される形で会計処理されていた。
監視委は、これらが粉飾決算だった可能性があるとみて、刑事告発を視野に西田厚聡、佐々木則夫、田中久雄の歴代3社長について、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で調査していた。
告発先となる地検は立件の可否を検討したが、部品が実際にやりとりされており、架空取引ではないことを重視。会計処理についても虚偽の決算内容を記載したとまでは言えないとの見方を強めたとみられる。