選挙戦最終日、政党による最後の訴えを聞く有権者たち=9日夜、東京都内、葛谷晋吾撮影
第24回参議院選挙が10日投開票される。安倍政権が継続を訴えるアベノミクスの是非や、自民党など憲法改正に前向きな政党が国会発議に必要な3分の2の議席を確保するかどうかが焦点となる。各党党首は選挙戦最終日の9日、各地で最後の訴えをした。10日深夜から11日未明にかけて大勢が判明する。
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今回は定数242議席のうち、半数の121議席(選挙区73、比例区48)が改選される。今回の参院選から国政選挙では初めて18歳以上が投票できる。
与党は経済政策を最大の争点と位置づけ、アベノミクスをさらに推し進めることで景気はよくなると主張。安倍晋三首相(自民党総裁)は9日、東京都内の街頭演説で「アベノミクスは失敗していないが、道半ば。この道をしっかりと力強く前に進んでいく」と訴えた。連立を組む公明党の山口那津男代表も、兵庫県西宮市で「我々の経済再生の取り組みをいかし、無年金(解消)を実現したい」とアピールした。
これに対し、野党はアベノミクスで潤うのは大企業や富裕層だけだと批判し、社会保障などをより重視すべきだと反論。さらに民進、共産、社民、生活の党と山本太郎となかまたちの野党4党は、改憲に前向きな政党による3分の2議席阻止を目標に掲げ、全国32の1人区すべてで候補者を一本化して対抗してきた。
自民、公明両党におおさか維新の会と日本のこころを大切にする党を加えた4党が今回78議席を獲得すれば、非改選の議席を加えて参院定数の3分の2を超える162議席を占める。すでに衆院は自公で3分の2議席があり、憲法改正の発議も可能となる。
選挙期間中、首相は街頭演説ではまったく憲法改正を語ってこなかった。民進党の岡田克也代表は9日、横浜市の街頭演説で「(首相が)憲法に触れなくても3分の2をとったら、必ずやってくる。憲法と平和主義が変えられてしまう」と訴えた。共産党の志位和夫委員長も9日、さいたま市で「首相は憲法のことをいっさい語らずに選挙戦をやり過ごそうとしている。首相の改憲の本丸は、9条を壊すことだ」と批判した。