肝臓に脂肪がたまって炎症を起こす非アルコール性脂肪肝炎(NASH〈ナッシュ〉)に関わるたんぱく質の働きを大阪大などの研究チームが解明した。マウスでこのたんぱく質をなくすと、脂肪肝炎や動脈硬化が抑えられた。7日、英科学誌ネイチャー電子版に論文が掲載された。
NASHは、飲酒の習慣がなくても発症する。近年患者数が増えており、国内に100万~200万人いると推定される。進行すると肝硬変や肝がんにつながるが、有効な治療薬はない。
阪大の小関正博助教(循環器内科・脂質代謝学)らは、脂質と関わると考えられ、詳細が不明だった「TTC39B」というたんぱく質に注目。人工的にこのたんぱく質が作れない状態にしたマウスに、脂肪の多い餌を18週間与えたところ、同じ餌を食べた通常のマウスと比べ、脂質の蓄積は半分で、炎症も抑えられていた。通常のマウスはNASHや動脈硬化の状態になっていた。
このたんぱく質の詳細は分かっていないが、たんぱく質をなくしたマウスに異常はみられていないという。小関さんは「たんぱく質の働きを抑える薬ができれば、NASHと動脈硬化の両方を治療する薬につながる」と話している。(石倉徹也)