練習する京大交響楽団のメンバーたち=16日、京都市左京区、佐藤慈子撮影
世界的指揮者・朝比奈隆氏(1908~2001)らが輩出した関西オーケストラの草分け、京都大学交響楽団(京大オーケストラ)が今年で創立100年を迎えた。大正デモクラシーの時代に生まれて以降、戦渦をくぐり抜けながら、一度も中断なく年2回の定期演奏会は開かれてきた。
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京大吉田キャンパス(京都市左京区)の一角。部室が入る「学生集会所」のあちこちで、団員らがフルートやビオラ、バイオリンを一心不乱に演奏していた。
「不滅の音楽のために」。練習場には朝比奈氏が書いた色紙が掲げられている。1928年に入部した朝比奈氏は京大オケを指導していたウクライナ出身のエマヌエル・メッテル氏に指揮を学び、後に関西交響楽団(現大阪フィルハーモニー交響楽団)を創設。新交響楽団(現NHK交響楽団)でタクトを振った。
「音楽に向き合う姿勢は朝比奈先生の時代から今も受け継がれている」。現代表で工学部3年の中川卓哉さん(22)は話す。団員は約200人。全体練習の欠席や遅刻は厳禁。繰り返すと定期演奏会のメンバーから外される。練習場で真夜中でも練習に励む姿があるのも伝統だ。
曲の精神を知るため歴史や文化について書かれた外国語の原書を読みあさる。定期演奏会の選曲では徹底的に議論を重ねる。100周年記念プロジェクト代表で京大大学院生の高三(たかさん)和晃さん(24)は「なぜ定期演奏会を開くのか、から議論し、音楽を根源的に考え続ける。これも伝統です」。