長崎バス(長崎市)の運転手が乗務前に酒気が検出されていたにもかかわらず、後輩の運転手に再検査を代わりに受けさせた後、路線バスを運転していたことがわかった。同社は関係者の処分を検討している。
同社によると19日午前6時25分ごろ、同市の大橋営業所の男性運転手(44)から出勤時の呼気アルコール検査で1リットル当たり0・113ミリグラムの酒気を検出。0・15ミリグラム以上を酒気帯び運転に当たるとする道交法の基準値は下回ったが、同社の規則ではわずかでも酒気が検出されれば、運行管理者が乗務を停止させることになっている。
だが運転手は再測定の際、後輩の男性運転手(29)に頼んで代わりに息を吹き込ませ、検査を通過。午前6時半すぎに路線バスで営業所を出発した。
運転手の健康状態などを確認する運行管理者(25)が約20分後、呼気を吹き込む際に記録される静止画から別人が呼気を吹き込んでいたことを確認。営業所長がバスの路線を先回りし、午前7時半ごろに乗務停止を言い渡した。この間、運転手は営業所からの回送区間を含む約15キロを運転し、乗客約50人を乗せていた。
同社は運転前8時間の飲酒を禁じている。運転手は「前日は酒を飲んでいない」と話し、代わりに検査を受けた運転手は「先輩の頼みで断り切れなかった」と話しているという。
同社は酒気測定時の確認に不備があったとして、「再発防止のため、確認動作の徹底を再指導する」とコメント。2人の運転手らから事情を聴き、処分を検討するという。(真野啓太)