事故を起こした観光バス。消防関係者とみられる人らが現場付近を調べていた=19日午後2時23分、台湾桃園市、読者提供
台湾北部の桃園国際空港(桃園市)近くの高速道路で19日午後、走行中の観光バスで火災が起き、バスはガードレールに突っ込んで炎上。乗っていた中国人観光客24人と台湾人運転手とガイドの計26人全員が死亡した。台湾の蔡英文(ツァイインウェン)政権発足後、中国は台湾との公的連絡体制を閉ざしていたが、対応のため人員を派遣するとしている。
台湾の高速警察などによると、事故にあったのは中国東北部の遼寧省から来たグループ。12日に台湾に入り、19日に中国に戻る予定だった。事故の原因ははっきりしていないが、バスが激しく炎上し、全員が逃げ遅れた。
台湾の行政院(内閣)は、中央災害対策センターを設置。対中政策を担う大陸委員会によると、同委が中国の国務院台湾事務弁公室(国台弁)に連絡したほか、民間窓口機関や中台観光関係の協会同士でも連絡を取り合ったという。遺族の台湾訪問などに必要な支援も行うとしている。
台湾では5月に蔡氏が総統に就任したが、中台が「一つの中国」原則を確認したと中国側が位置づける「92年コンセンサス」を蔡氏が受け入れていないことから、中国は公的連絡体制を停止。台湾側の連絡に中国が応答しない状態が続いてきた。国台弁の19日の発表でも、即応体制を立ち上げ、窓口機関や観光協会を通じて連絡したとしたものの、大陸委との連絡については言及していない。(台北=鵜飼啓)