飯野和好さん
■絵本作家から・飯野和好さん
「ねぎぼうずのあさたろう」(福音館書店)は、いわゆる股旅物で、痛快時代活劇絵本です。街道を旅するあさたろうが義理と人情で悪人をやっつけます。いま10作目を描いています。
絵本の特集:たぬき書房
「あさたろう」は浪曲「国定忠治伝」の子分から名をもらいました。おじいちゃん世代は、ピンと来るかもしれませんね。
大衆娯楽の浪曲を絵本に採り入れたらどうだろう。そう思って作りました。子どものころラジオで聞いた昭和の浪曲師、二代広沢虎造の「清水次郎長伝」風に、節(メロディー)と歯切れ良いたんか(セリフ)を重ねてみたんです。「おっかさーん いってきまーす」って。
下から人物に迫るアングルや遠近感、場面の見せ方は、映画の手法を意識しました。妙な絵本だけど、面白いなと思っています。
最初の読み語りのときに米朝一門の桂文我さんが三味線をあててくださったおかげでいろんな人の縁ができました。2作で完結の予定でしたが、シリーズになり人形劇やアニメにもなって、人の縁や義理人情をつづる「世話物」そのものの展開でした。
育ったのは埼玉県秩父の山奥の農村。当時見た旅芝居や映画のチャンバラに夢中でした。「あさたろう」はその世界です。
学校帰り、峠道を1人のときな…