シリアのアサド政権軍は2日、内陸の交通の要所である中部パルミラを、過激派組織「イスラム国」(IS)から再び奪還したと発表した。同地は2015年5月にISが制圧し、昨年3月に政権軍が奪還。同12月に再びISが侵攻し、政権軍は撤退していた。シリアとイラクで支配地域の縮小が続くISにとっては大打撃で、劣勢が鮮明になっている。
シリアの国営メディアによると、アサド政権軍幹部が2日、パルミラ全域で支配権を確立したとする声明を発表した。政権軍関係者によると、ISは2日、パルミラ市域から完全に撤退。政権軍は、市内のあちこちに敷設された対人・対戦車地雷を撤去しているという。
シリア内戦をめぐっては、ロシアとトルコが主導し、アサド政権と主要反体制派の停戦が昨年末に発効したが、ISなどの過激派組織は除外されている。
世界遺産の都市遺跡で知られるパルミラは、首都ダマスカスの約230キロ北東にある。アサド政権軍は再び同地を奪還したことで、シリア中央部からイラク国境に広がる砂漠地帯を支配下に置くことができ、ISが「首都」と称する北部ラッカ攻略へ足がかりを得たことになる。(イスタンブール=春日芳晃)