環境省は25日、地球温暖化対策で、石炭火力発電所の排ガスに含まれる二酸化炭素(CO2)を回収、固定する技術(CCS)の実証実験を、福岡県内で今年度から始めると発表した。1日あたり600トン前後のCO2を回収する予定で、国内で初の大規模な実証実験という。
石炭火力発電所は発電効率が高い最新型でも、CO2排出量が天然ガス火力発電所の約2倍と多いが、国内では新設計画が相次ぐ。「2050年までに温室効果ガスの排出を80%減らす」とする国の長期目標の達成のためには、CCSは重要な技術だ。
環境省はCCS実用化に向け、今年度予算に36億円を計上。東芝が出資する福岡県大牟田市の三川発電所を公募で選んだ。東京大学や産業技術総合研究所などと共同で、排ガス中のCO2の半分以上を化学溶液に吸収し、回収することを目指す。30年ごろまでの実用化を目指し、発電効率や環境への影響を今後5年以内に調べる。(小堀龍之)