都知事選候補者の演説を聞く人たち=24日、東京都内、角野貴之撮影
東京都知事選は、都内の18、19歳にとって参院選に続く投票の機会になる。教育政策や地域間格差、20代前半で迎える東京五輪・パラリンピック……。それぞれの関心に参院選の経験も踏まえ、論戦に耳を傾ける。
特集:2016東京都知事選
特集:18歳選挙権
練馬区の大学1年、平野繭子(まゆこ)さん(18)は23日、区内の期日前投票所で立会人を務めた。「政治に興味が増す良い機会」と考え、区選挙管理委員会の募集に応じた。大学で友人らに話すと「私もやってみたい」「いつ投票行く?」と盛り上がったという。
新知事には、中学や高校で主権者意識を高める授業を後押ししてほしいと考えている。「授業で政治について話し合うことで興味がわくと思う」
総務省の抽出調査によると、10日に投開票された参院選で、都内の18歳の投票率は都全体の投票率を約3ポイント上回る60・53%だった。
武蔵野市の高校3年、西村奈央加さん(18)は「参院選の時は模擬投票の授業があって、投票に行った友人も多かった」。自身は都知事選も投票するつもりだ。ただ、夏休みで受験勉強が忙しい時期でもあり「今回は棄権する人も多いのでは」と予想する。府中市の大学2年、三浦監土(けんと)さん(19)は「一番盛り上がったのは誰が出馬するか。政策論争が二の次になっている気がする」と嘆く。
主な候補は、若者向けの政策を盛り込んでいる。鳥越俊太郎氏(76)は「貧困・格差の是正に向けて若者への投資を増やす」。増田寛也氏(64)は「都独自の給付型奨学金を創設し、非正規雇用から正社員化への支援をする」と訴え、小池百合子氏(64)も「都独自の給付型奨学金を拡充し、英語教育を徹底する」としている。
「政策の違いがあった参院選より争点が少なく感じる。志が強そうな人に投票したい」。練馬区の高校3年、嶋津裕人(ひろと)さん(18)はそう話す。できるだけ生の声を聞こうと、各候補の遊説の予定を見て足を運んでいる。東京五輪は学生ボランティアとして参加を考えており、「歴史に残る大会にしてほしい」と願う。
板橋区の大学1年、川平朋花さん(18)も東京五輪が気がかりだ。4年後、都知事選の時期が五輪前後に重なる可能性があり「また都政がもめれば、日本の国際的なイメージが悪くなる。そつなく運営してくれる人を選びたい」。新聞記事やネット上の候補者に関する情報、選挙公報などで判断材料を集めている。
「多摩地域は置き去りになるのでは」。国立市の高校3年、長内陸さん(18)は都西部が軽視されないか心配している。23区よりも人口や繁華街が少なく、五輪で来る外国人観光客も23区に集中するのではと不安だ。初の選挙だった参院選に比べると都知事選は身近に感じる。「都全体に目を向ける人に投票したい」