楽天の三木谷浩史会長兼社長=東京都港区、川村直子撮影
創立20年目の楽天が、壁にぶつかっている。海外でのネット通販は今年に入って6カ国からの撤退を表明。国内も他社の猛追で成長が鈍った。どうするのか。三木谷浩史会長兼社長に聞いた。
「目標は20年に営業利益3千億円」 楽天・三木谷氏
楽天が2015年度に扱った電子商取引の総額は約2・7兆円で国内首位。三木谷氏は「ネットビジネスをライフワークにしようと思ったのが20年前。事業投資を続けつつ、ここまで持ってきた形は自分なりの評価がある」と総括した。
ただ、ネット通販「楽天市場」を手広く海外に展開する戦略は壁にあたった。今年、思うように浸透できなかった東南アジアや、英国など欧州の一部から撤退。ドイツ、フランス、台湾などに特化する方針を表明した。三木谷氏は「中途半端はだめで、選択と集中が必要だと判断した」と、方針修正を認めた。
一部の国で浸透できなかったことについて、「(楽天市場を軸に成長した日本と)同様にできると思ったが難しかった」と説明。将来的に取扱高の半分を海外にする目標も、「今はそこまで厳格には考えていない」と話した。
一方、米国で14年に買収し、15年度の営業利益を前年度の3倍以上に伸ばした通販関連サイト(キャッシュバックサイト)の「イーベイツ」といった成功例を強調。「楽天の戦略は顧客データと会員組織」と述べ、楽天ブランドにこだわらず買収先の知名度を生かすなど、国によって柔軟な戦略をとる考えも示した。