シリア出身のユスラ・マルディニ=稲垣康介撮影
リオデジャネイロ五輪に国際オリンピック委員会(IOC)が結成した「難民選手団」として出場する10選手のうち、シリアとコンゴ民主共和国出身の4人が30日、五輪公園内で記者会見した。IOCは世界で急増する難民に希望を与えようと今回、一定の競技レベルに達した10選手に特別参加の道を開いた。
特集:リオオリンピック2016
シリアからドイツに逃れた競泳女子のユスラ・マルディニ(18)は似たような境遇で暮らす難民に向け、「困難に直面しても、前に進むことの大切さを、私たちの物語から学んでもらえたら」と流暢(りゅうちょう)な英語で呼びかけた。また、「どのアスリートにとっても世界最大のイベントである五輪に出るのは夢。リオが終わったら、また一生懸命練習して東京五輪でメダルが取れたらいい」と、早くも4年後に思いをはせた。
コンゴ民主共和国からブラジルに渡り、リオのスラム街で暮らす柔道男子のポポル・ミセンガ(24)は、「幼いときに両親と別れ、教育も受けられなかった僕に、柔道が敬意を払う気持ちや集中力を教えてくれた」と日本発祥の競技への感謝の気持ちを口にした。
生き別れた家族に何を伝えたいか、との質問には感極まり、「もしテレビを見ていたら、僕はブラジルにいると。いつの日か、航空券を買ってブラジルに呼び寄せて一緒に暮らしたい」と声を詰まらせた。(稲垣康介)