飛行する「メーヴェ」=31日午前、北海道滝川市の「たきかわスカイパーク」、山本裕之撮影
宮崎駿(はやお)監督のアニメ映画「風の谷のナウシカ」(1984年)に登場する飛行装置「メーヴェ」をモデルにした小型飛行機が31日、北海道滝川市の「たきかわスカイパーク」で初めて公開飛行した。開発したメディアアーティストの八谷(はちや)和彦さん(50)=東京都=がパイロットも務める白い機体が上空を舞い、構想から13年をへた夢がかなった。
メーヴェは主人公の少女ナウシカが機体に腹ばいになって乗る飛行装置。東京芸大准教授でもある八谷さんが2003年にこれを模した機体の開発を始めた。幅9・6メートル、全長2・7メートル、重さ100キロ。尾翼はなく、ジェットエンジンの左右に木製の骨組みで羽を広げた構造で、詳細設計と製造はメーカーが担った。
試作機ができたのが3年前。国土交通省に手続きし、千葉県や滝川市で高度数メートル、十数秒間ふわりと浮く試験飛行の模様が動画サイトで人気を呼んだ。昨年から空を飛ぶことを目指して推力が2倍の新エンジンに積み替え、5月から滝川市で試験を重ねてきた。
31日は同パークのイベントに合わせ飛行を公開。キーンというエンジン音で滑走してフワリと浮くとそのまま高度70メートルまで上昇。体重移動による操作でナウシカさながらに上空を旋回し、下から手を振る人に八谷さんが手を振り返す場面も。5分ほどで着陸すると見物客から拍手と歓声が起こった。
八谷さんは「鳥になったみたいで非常に気持ちよかった。人類の長年の願いがかなえられたと思う」と感慨深げ。「事故を絶対に起こさず夢をかなえると決めていた。試験はもう少し続けるが、公開は終わりにしようと思う」と話した。(渡辺康人)