「核なき世界」の実現に向けた効果的な手法を検討する国連の核軍縮作業部会の最終会期が5日、スイス・ジュネーブで始まった。19日までに秋の国連総会に提出する報告書をまとめる予定だが、「核兵器禁止条約」を念頭に置いた「核兵器の法的禁止」に関する内容を巡り、出席した約90カ国の賛否が分かれる。
7月末に公表された報告書案には、「過半数の国々は、2017年の国連総会で核兵器禁止のための法的措置の協議を始めることに対して、支持を表明した」との文言が国連総会への勧告として盛り込まれた。
これに対し、日本や北大西洋条約機構(NATO)加盟国など徐々に核廃絶を目指す「漸進的アプローチ」を支持する24カ国は反発。5日、代表して発言したドイツは「受け入れられない」と述べ、反対の立場を明確にした。安全保障の面を考慮していないことなどを理由に挙げた。核保有国は部会を欠席している。 一方で、この文言を支持する国々からは、報告書案を「公平」「バランスがとれている」と支持する発言が相次いだ。主導するメキシコのロモナコ大使は朝日新聞の事前取材に、報告書案を「よくできている」と評価。「漸進的アプローチ」を支持する国々について、「『核軍縮を求めるが安全保障面で心配なので、核抑止力に依存している』と言うが、どうやって両立するのか。核軍縮と現状維持、両方の立場を同時にとれない」と述べた。(ジュネーブ=松尾一郎)