構造や働きによって180の領域に分けられた脳の地図=米ワシントン大提供
構造や働きによって脳を180の領域に分けた「地図」を作製したと、米ワシントン大のグループが英科学誌ネイチャーに発表した。米国の脳研究の国家プロジェクトの一環で、これまでの地図より解像度が高い。今後、多くの研究者に利用される基盤情報となり、脳の働きや病気の研究に役立ちそうだ。
健康な男女210人の脳について、磁気共鳴画像(MRI)を使い、構造や神経のつながり方、刺激を与えた時や休んでいる時の血流の変化など複数の解析法で詳細に調べた。得られた情報を統合して、大脳の片側を180の領域に分けた。これまでわかっていた聴覚野とは別に、話を聞く時に活動する領域を見つけるなど、97の領域を新たに特定した。
これまでの脳の地図は一つの方法や少人数の解析で作製されていたが、今回は複数の方法で大規模に解析した。さらに改良していくことで、領域ごとの働きと病気との関係の解明や脳外科手術への応用が期待できるという。ほかの動物と比較して脳の進化を理解する手がかりにもなりそうだ。(瀬川茂子)