日下篤・育英元監督
■第1試合 関東一―広島新庄
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1回戦屈指の好勝負と楽しみにしている。広島新庄の堀は、直球もスライダーも素晴らしい左投手。簡単には打たれないだろう。一方の関東一は試合巧者だ。チーム打率は高くないが、実に勝負強い。投手陣は豊富だが、こちらも先発は左腕の佐藤奨か。継投のタイミングも大切になる。米沢監督がどんな策で、経験豊富な広島新庄・迫田監督に挑むか。好勝負は得てして、ミスが勝敗の分かれ目になるもの。失策や不要な四死球を出さないことも大切になる。
(山下智茂・星稜元監督 1995年全国選手権準優勝)
■第2試合 京都翔英―樟南
京都翔英はエース滝野が京都大会決勝で指のマメを潰してしまった。どのくらい影響するか心配だが、2番手で投げた高向も16回で2失点と安定している。打線は京都で60得点。競った試合は6試合のうち1試合のみと中軸を中心に強力だ。この打線対、樟南の浜屋、畠中。この両左腕が非常によく、引き分け再試合になった鹿児島大会決勝では2試合とも継投で接戦を制した。この2人に頑張ってもらって、何とか接戦に持ち込んで後半に好機を見いだしたいところだ。
(大藤敏行・中京大中京前監督 2009年全国選手権優勝)
■第3試合 星稜―市和歌山
地方大会での与四死球が星稜20、市和歌山25とやや多い。甲子園での無駄なランナーは大量失点につながりかねず、ミスや四死球をきっかけにした「与える点」を少なくしたい。星稜は石川大会の新記録となる9本塁打の強打線で勝ち抜いてきた。捕手の川岸は2年生で、投手も下級生が中心。怖いものしらずで勢いよくいければいいプレーが出るだろう。市和歌山は今春の選抜1回戦、0―0で迎えた9回に6失点して敗れた。悔しさをバネにしたいところだ。
(小枝守・拓大紅陵前監督 1992年全国選手権準優勝)
■第4試合 花咲徳栄―大曲工
花咲徳栄の左腕高橋昂は大会屈指の左腕。選抜大会時より制球力、スピードともにアップし、安定感は増した。同じ速球を武器とする本格派といえど、荒れ球なら見極めて好機を広げることができる。ただ高橋昂の今の状態を考えれば、追い込まれて不利になるだけだ。ならば大曲工は相手が得意とする直球やスライダーに各打者が狙い球を絞り、早いカウントから積極的に振ったほうが勝機は見いだせる。初出場らしい思い切りの良さを出せるかどうかが試合のカギになる。
(日下篤・育英元監督 1993年全国選手権優勝)