中国のショート動画共有アプリ「抖音」の海外版である「TikTok(ティックトック)」の「取引合意」に関連して、各方面から最も注目されているのはソースコード審査に関する問題だ。 ソースコードとは、TikTokのようなインターネット企業にとってコアとなる企業秘密であり、またコアとなる資産でもある。特に注目されるのは、TikTokのような超大型SNSプラットフォームのソースコードには、大量の個人情報が含まれていることで、これが不正に利用されれば、個人のプライバシーが漏洩するだけでなく、公共の利益や国家安全保障にとって即座に現実的脅威になりさえする。 CNNなどの米国メディアの報道によると、オラクルとウォルマートは声明を出し、「合意」が調印されれば、米国企業とその背後にいる米国政府は、ソースコードを「審査」するという形で、TikTokのソースコードをすべて入手することになるという。米国政府には「前科」があるため、今回の「取引」を通じて、TikTokとは経営を別にする抖音のソースコードまで直接的または間接的に入手するのではないかと疑わざるを得ない。抖音が中国のユーザーの大量のデータを通じて学習させた人工知能(AI)のプッシュ(アルゴリズム)、モジュール、コードなどが、なんらかのリスクにさらされる可能性もある。 「データ分析に基づく個別化情報プッシュサービス技術」、「AIインタラクティブインターフェース技術」が、TikTokの親会社であるバイトダンスのコア資産だ。このようなコア技術の裏打ちがあるからこそ、2020年1月5日の時点で、抖音の1日あたりアクティブユーザー数は4億人を突破。サービスのリリースからすでに3年以上経っているにもかかわらず、抖音は今も驚異的なスピードで成長し続けている。 米メディアが報じた情報が本当であるなら、中国のユーザーの大量の個人情報が漏洩するリスクがあり、中国の国家安全保障も脅威にさらされるということだ。 事は国家安全保障に関わり、どのような脅威の可能性も絶対に見逃せない。中国国民が中国の国家安全保障という利益に関心を寄せ、中国企業の海外での正当な権利が有効に保障されるかどうかに関心を寄せることは、ごく当たり前のことであり、米国に動機を問いただすだけの十分な理由があると言える。 2016年、米国では大統領選挙の後、外国政府がSNSを利用して選挙に干渉したとの疑いについて調査が行われた。その結果、フェイスブックのユーザーデータ管理に明らかな問題があり、「ケンブリッジ・アナリティカ」という企業が大量のユーザーデータを取得して、データマイニングによってユーザーの政治的態度・立場を割り出し、ターゲットを絞って政治広告を送り、最終的にユーザーの投票行為に影響を与えていたことがわかった。米国自身のケースからわかるように、主権国家で、自国の政治的安全をこのようなリスクの前にさらすところはない。ソースコードのセキュリティについては、問題を未然に防ぎ、管理を強化し、リスクを回避するのが当然のことだ。 より重要なのは、「TikTok取引」の安全性に疑問や懸念を抱くべきなのは、米国政府が関連分野においてこれまでしてきたことに問題があるからという点だ。最も典型的なネット覇権国家である米国政府は、極めて単純かつ雑なやり方で、世界中のネット空間で自国の主権を拡大しようと際限なく追求し、他国の核心的利益を尊重しないどころか、欲しいままに何らはばかることなくダブルスタンダードを押し通し、他国に対しては対等な処置を行ってはならないと横暴な要求をすることに慣れてしまっている。 米国政府の通信傍受システム「エシュロン」と「プリズム」による盗聴や、マイクロソフトがアイルランドデータサーバーに保存するデータを引き渡すよう強制するといった行動に対して人々が抱く嫌悪と憤怒、そして米国がこれまで少しも実質的な証拠がない中で国家安全保障を口実にTikTokに対して行ってきた数々の恫喝行為、さらにはこれまでに述べてきたような一線を越えた強奪行為に基づいて考えると、「TikTok取引」は信頼度が限りなくゼロに近い劣悪な環境の中で行われていると信ずるに足る十分な理由がある。これまでに明らかになった情報からも、「TikTok取引」の合意は不平等な土台の上に築かれたものだということがはっきりとわかる。 「TikTok取引」の成立を強要すれば、米国の各方面の潜在的な利益は1千億ドル(1ドルは約105.5円)に達する。これほど「儲けやすい商売」があるなら、米国は起業やベンチャー投資などしなくていいではないか。中国企業の前に立ちはだかって「追い剥ぎ」をすればそれで十分ではないか。 しかし、それでも米国政府と米国企業に対しては、しらばくれて何も気づかないように装ういつものやり方で吸うべきでない甘い汁を吸おうなどと考えないよう、懇ろに忠告する。中国企業には強大な国家という後ろ盾があり、「不平等条約」は米国が調印しようとすればすぐに調印できるわけではない。(編集KS) 「人民網日本語版」2020年9月25日 |
人民網「TikTok取引」三評(二) どさくさ紛れに利益を得ようなどど考えるなかれ
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