遺体を収容し捜索現場を離れるヘリを見送る大和晃さんの家族=11日午後5時49分、熊本県南阿蘇村、長沢幹城撮影
息子に会いたい。その一心で、両親は、大雨の降る日も、日差しが照りつける日も、手掛かりを求めて川沿いを探し歩いた。熊本地震からまもなく4カ月になる11日。ついに、この日を迎えた。
不明学生の捜索現場で遺体収容 熊本・南阿蘇
特集:熊本地震
大和晃(やまと・ひかる)さん(22)の父卓也さん(58)と母忍さん(49)、兄の翔吾さん(24)は11日も、朝から捜索の様子を見守っていた。卓也さんの携帯に、晃さんとみられる遺体を収容したと連絡が入ったのは午後5時半ごろ。遺体搬送のため降りてきたヘリに向かい、3人は頭を下げた。忍さんは「晃、もうすぐ家に帰れるよ」と大声で呼びかけた。
忍さんの友人は「お父さんとお母さんはとにかく子どもを見つけたい一念だった。強い思いが奇跡を起こした」と話した。
晃さんが安否不明になった4月16日の本震発生から約半月後の5月1日、卓也さんは県から「捜索を終了します」と告げられた。「どうしようもなか」と言った後で、「悔しい」と漏らした。
その後、2人は職場の協力も得て仕事やパートを休み、晃さんを捜し続けた。布を見つければ息子の服ではないか、金属板を見つければ車の一部ではないか……。どんな小さな手掛かりも見逃すまいと河川敷を歩き、近づけない場所はカメラの望遠レンズを使って確認した。晃さんが乗っていた同型車や当日の服装の写真を載せたチラシも作り、川沿いの住民や工事関係者に配った。
本震発生当時、晃さんは、14…