捜索現場で見つかった遺体がヘリコプターで搬送された=11日午後5時45分、熊本県南阿蘇村、長沢幹城撮影
熊本地震で唯一の安否不明者となっている大学生大和晃(やまと・ひかる)さん(22)を捜索していた熊本県は11日、熊本県南阿蘇村の阿蘇大橋があった場所から下流約400メートル付近で、土砂に埋もれた車の中から遺体を収容し、発表した。晃さん名義の銀行通帳なども見つかり、検視の結果、遺体は男性と判明した。県警は晃さんとみてDNA型や歯型などで身元の確認を進める。
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県警によると、遺体はほぼ白骨化し、シートベルトを締めた状態だった。車内からはほかに、着用した状態の上着とズボン、靴、携帯電話、父の卓也さん(58)名義のETCカードが見つかった。遺体と遺留品は、ヘリコプターを使って大津署に搬送した。遺体は12日に司法解剖する。晃さんと断定されれば、熊本地震による直接死の人数は50人となる。
今回の捜索は、県による捜索が中断された後に、卓也さんらが自分たちで晃さんが乗っていたとみられる車が埋まっているのを見つけ、約2カ月ぶりに行われた。県警や消防を中心に9日に始まり、10日には岩や土砂に埋もれた車内に「人らしきもの」が見つかったが、収容できなかった。
11日は午前8時ごろから再開した。当初、滑車を使って車体ごと引き揚げようと試みたが、作業が難航し断念。エンジンカッターなどを使って車体の一部を切断し、遺体を収容した。
現場が見える位置から捜索を見守った卓也さんは、収容されたのは晃さんとみており「子どもを手元に取り戻すことができた」と語った。
晃さんは4月16日の熊本地震の本震後に安否不明となった。当時、乗用車で阿蘇大橋方面に向かっていたのを県警は確認していた。
県は12日も遺留品の捜索を続ける。車体の引き揚げは週明けになる見通しという。