近赤外線のがん免疫療法の仕組み
体に無害な近赤外線を当ててがんを攻撃する免疫を活性化させ、がんを縮小させることに米国立保健研究所(NIH)の小林久隆・主任研究員らがマウス実験で成功した。転移したがんにも効果が期待できるといい、数年後の臨床試験(治験)を目指す。米医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシン(電子版)に18日、発表する。
がん細胞は、免疫を抑える働きのある「制御性T細胞」を利用して、がん細胞を攻撃する免疫細胞から巧みに逃れている。
研究チームは、光を受けると発熱する特殊な化学物質を、制御性T細胞にくっつく性質を持った抗体と結合させた薬をつくり、肺がんや大腸がんを皮膚に移植したマウスに注射した。
その後、患部に近赤外線を当て、化学物質による発熱でがんの周囲にある制御性T細胞を死滅させた。その結果、がん細胞は、免疫細胞の攻撃から逃れられなくなり、がんを一時的に大幅に縮小させることができた。
さらに光を当てていない部位の…