衆院予算委で、民進党の福島伸享氏の質問に答弁する安倍晋三首相=27日午前、岩下毅撮影
衆院予算委員会は27日、2017年度政府予算案を自民、公明両党の賛成多数で可決した。予算案は同日午後の本会議で衆院を通過し、憲法の規定で参院送付後30日で自然成立するため、今年度中の成立が確実になった。衆院予算委では野党が大阪の学校法人「森友学園」への国有地売却問題を追及し、同学園理事長の参考人招致を求めた。
特集:大阪の国有地売却問題
17年度予算案の歳出規模は97兆4547億円で、高齢化による社会保障費の膨張や防衛費などの増大で5年連続過去最大となる。27日に衆院を通過すれば戦後2番目の早さに並ぶ。
この日午前の衆院予算委は、全閣僚が出席しての締めくくり質疑。民進党の福島伸享氏は、同学園が大阪市で運営する幼稚園の運動会で、園児に「安倍(晋三)首相がんばれ。安保法制、国会通過よかったです」と選手宣誓させていたと明かし、教育基本法で「特定の政党を支持し、またはこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない」と禁じている政治的活動に当たると指摘した。
これに対して首相は、「(森友学園の)学校の考え方としていろいろ取り組んでいるものと思う。この学校の教育については、所管の大阪府が監督するもので、文部科学省が事実関係を確認している」と述べた。松野博一文部科学相は「一義的には所轄庁である大阪府が判断し、適切に指導を行うものと考えている」とした。
福島氏はさらに、国有地の売却を随意契約としたことや、値下げした根拠としたごみ処理費の算定を第三者ではなく大阪航空局が行ったことなどを取り上げ、「特別な便宜が森友学園に国から図られている」と指摘。佐川宣寿・財務省理財局長は「適切な手続きにのっとって手続きをした」などと答えた。(坂本進)