「トルコは中近東のイスラム過激派に活動拠点を提供している」――。ドイツ内務省がトルコについて記した非公開文書が明らかになり、トルコ政府が17日、声明で抗議した。ドイツを中心とした欧州連合(EU)とトルコは、欧州への難民流入を制限する取り組みで合意しているが、微妙な影響を与えそうだ。
文書は、ドイツの左派党の質問に対して回答したもの。機密情報に基づいているため、非公開を条件にしたが、独公共放送ARDが16日、独自に報じた。
文書は「2011年以降、トルコは中近東のイスラム過激派グループの中心的な活動拠点になりつつある」とし、パレスチナ自治区ガザを実効支配する「ハマス」や、エジプトのイスラム組織「ムスリム同胞団」、シリアの反政府勢力を支援先として挙げた。
これに対し、トルコ外務省は「トルコを攻撃するゆがんだ精神を反映している」「背後には(トルコからの独立を求めるクルド人の武装勢力・クルディスタン労働者党)PKKをサポートする一部の政治勢力がいる」などと批判した。
ドイツ国内には、エルドアン大統領の強権姿勢が目立つトルコと協力することに慎重論が根強く、内務省の見解が明らかになったことで、今後さらに反発が強まる可能性がある。ドイツ政府は17日の会見で、文書の存在を認めたものの、内容については「コメントできない」とした。(ベルリン=高野弦)