大雨で増水し、濁流となった無加川=21日午後6時、北海道北見市留辺蘂(るべしべ)町、石間敦撮影
台風11号の影響で前線の活動も活発になり、北海道では21日、各地で大雨に見舞われた。17日に台風7号が上陸したばかりで、氾濫(はんらん)の危険がある川が相次ぎ、約3万1千人に避難指示や避難勧告が出た。
台風11号、北海道上陸の恐れ 9号もあす東日本に接近
国土交通省北海道開発局によると、北見市常呂町の常呂川では21日未明に3カ所で水があふれ、堤防ののり面が一部崩れた。同日夕までに応急的な復旧を終えた。市内では、40代の女性が乗っていた車が水没したほか、40代男性と60代女性が川に流されたが、救出されて無事だった。常呂川周辺の農地は広範囲に冠水。農業用ハウスが濁流に押し流され、軽乗用車が立ち往生するなどした。
北見市は1302世帯2893人に避難指示を出した。常呂町郷土資料館に家族3人で避難した銀田哲雄さん(68)は、常呂川が氾濫した地区にある高徳寺の住職。「寺は100年の歴史があるが、これまでに洪水で4度流された。今回はお盆時期と重なり、21日朝は一時帰宅して法要を勤めてきた。避難所は不便なことも多く、眠れないのがつらい」と台風11号の接近を心配していた。
また、20日午後7時ごろには美瑛町の道道213号が陥没し、近くの天人峡温泉のホテル2カ所に約100人が取り残された。道路は21日に応急復旧され、同日中に全員が避難した。
北海道によると、21日午後4時半までに北見市や士別市、足寄町など8市町計3697世帯8007人に避難指示が、23市町村の1万2817世帯2万3260人に避難勧告が出た。また空知、上川、オホーツク地方などで163カ所の避難所が開設され、454人が避難した。